イタリアの雑誌『 CRUDO STYLE 』のインタビュー ③


●  あなたにインスピレーションを与える師匠(マスター)は いますか?

はい。私にインスピレーションを与える存在は、自分の中にいます。それは、沈黙に身を浸し、心の動きが水平線や地平線のようにフラットに静まった時に訪れます。心の地平線を超えたところに、マスターがいるのです。心を超えた時−―空(くう:仏教で言う煩悩が消えた状態)の時、導かれる境地があり、そこから湧いてくる感覚や響いてくる声が、私のマスターです。

もう一つのマスターは自然です。
山の霊力や、川の流れ、星々の運行、潮の満ち引き、母なる大地、父なる大空。それぞれのタイミングで咲いていく花々や、枝を伸ばし葉を落とす木々、生きとし生けるもの。それらが織りなす自然界のハーモニー(調和)が、私のマスターです。

●  あなたはマントラを持っていますか?

私だけのマントラは持っていません。
しかしプラクティスを誘導する時、インスピレーションで、いくつかマントラを唱えることがあります。

サンスクリット語のマントラではありませんが、言葉の響きそのものに、心を良いものに変化させていく力があると思っています。
日本には古来から『言霊』という概念があり、そういう意味で、私は、日本語の『ありがとう』という言葉を大切にしています。『ありがとう』とは、「あり難く」すなわち「在ることが難しい」からこそ出会えた喜びや感謝を伝える言葉です。