イタリアの雑誌『 CRUDO STYLE 』のインタビュー ①

● いつ頃から何年くらい練習していますか?

35歳の時からです。今、44歳ですから、もうすぐ10年になりますね。ヨーガとの出合いは衝撃的で、運命的なものでした。以来、毎日欠かさずヨーガをしています。
ヨーガと出合う2年前、33歳の時に、自分の体質と真剣に向き合おうと、マクロビオティックという食事療法を始めました。そして体重がするすると落ち、身体が軽やかになった時に、北海道から東京へと、夫が転勤になりました。当時とても気に入っていた仕事から私は離れざるをえなくなり、引っ越しをしました。それがきっかけでしょうか、『住む場所が変わっても、自分の身ひとつさえあれば出来る、自分の天職が欲しい。プロフェッショナルになりたい。』と願うようになりました。

その時は天職が何かは全くわかりませんでしたが、引っ越した直後から、まるで命を試されるかのように、みるみる体調が悪くなり、死を垣間見るような、八方塞がりの1年を過ごすことになりました。
身長170㎝・体重55㎏の身体が、体重42㎏まで落ち、骨と皮だけの肉体に。全ての欲という欲が落ち、息も絶え絶えで、命の灯が消えそうでした。
未だかつて体験したことのないゾーンに入った、苦しい1年間でした。精神のサレンダー(心の明け渡し)をさせられ、どん底の暗闇にいても『でも、こんなところで死ねない。まだ人生でやるべきことがある。何とか自分の命を立て直したい。』と思いました。何か良い方法はないかと必死で探している最中、家の本棚にヨーガの本を見つけたのです。2人目の出産後、健康とダイエットのために購入した本でした。

ふと、本に書かれていた「呼吸法」に目が留まりました。そしてこう思いました。呼吸法だけら、全く体力のない私でも出来るのではないかと。

呼吸法を初めて試した時の感覚は、今でもはっきり覚えています。
呼吸法を実践すると、細胞の1つ1つ、60兆の細胞が『プチプチプチプチッ』と音を立てて弾けるような、とても不思議な感覚に包まれました。細胞が目覚めるような、体験したことのない感覚……
『これが私を救ってくれる。』と直感し、毎日少しづつ呼吸法を実践。確実に命が立ち上がっていくのを感じました。

そんな中、ある日突然、当時は何が何だかわかりませんでしたが、人生で体験してこなかった、誰からも聞いたこともない、圧倒的に、完全に満ち足りた至福の領域、「サマーディ」を私は体験したのです。
その直後、まるで生まれ変わっていくように、みるみる元気になりました。どん底からの立ち上がり ― この体験は、とてもドラマティックで、この未知の領域は私に多くの事を示唆してくれまた。

光と闇、陰と陽、静と動、正と悪、成功と失敗、非難と賞賛、美しさと醜さ、病気と健康、相反するものは、互いに支え合ってできているということ、そして、その両極を超えた世界があるということ。

ヨーガの探求が導いてくれる世界は、あまりにも深く、その真理は、次元を超えた恩寵をもたらしてくれます。
私の場合は、八方塞がりになったことで、九方向目があるということを知りました。九方向目とは、自分自身の内部に深く入っていく、潜っていくような意識の旅です。
ヨーガに出合い、人生が大きく変わりました。
私は、今日も喜びを味わいながら、ヨーガを探求し続けています。
ヨーガで得た感覚や意識を、皆さんとシェアできればと思い、日々、実践しています。